定置網漁

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近年見直されている定置網漁とは?魚を獲る仕組みから、環境に優しい理由まで解説

古くから魚を食べることを習慣としてきた日本には、さまざまな漁法が存在します。

中でも、沿岸漁業には歴史ある漁法が多く、また穫れる魚の種類も豊富です。

当記事では沿岸漁業の1つ、「定置網漁」の仕組みや構造などについて解説します。

定置網漁とは

定置網とは

定置網漁とは、海中の定まった場所に網を設置し、魚を獲る漁のことをいいます。

大半は、陸から2~5kmほど離れた場所に設置されます。

日本の漁業法では、水深27m以上の海域に設置されるものを定置網と定義しています。

近年では漁具の改良が進み、水深100m以上のところに設置される定置網もあります。

定置網の分類

定置網は、漁具の構造上から6種類に分類されています。

  • 台網類(だいあみるい)
  • 落網類(おとしあみるい)
  • 枡網類(ますあみるい)
  • 張網類(はりあみるい)
  • 出網類(だしあみるい)
  • 網えり類(あみえりるい)

このうち、技術的にもっとも進歩した定置網とされるのが「落網類」で、現在の定置網のスタンダードとなっています。

3部または4部構造からなる網で、漏斗状の通路を備えたところが大きな特徴です。

サケ・マス、ブリ、マグロ、イワシ、アジ、サバなど一般的に「浮魚」と呼ばれる、海底から離れたところを泳ぐ魚を獲るのに適しています。

「浮魚」に対して、カレイ、エビ、カニなど海底に生息する魚介類を「底魚」と呼びますが、こちらは定置網での漁獲は難しいです。

当記事では、この「落網類」を使った定置網漁について話を進めます。

定置網で魚を獲る仕組み

定置網で魚を獲る仕組み

定置網漁は、沿岸を回遊する魚を遮る「垣網」と、それに誘導された魚が入る「身網(袋網)」を設置して行います。

垣網は長いもので800m以上もありますが、網の大部分は海中にあるため、通常は海面に浮かぶブイしか見ることはできません。

潮の流れに沿って泳いできた魚は、直線に伸びた垣網(障害物)を避けるため、沖に向かって進路を変更します。

そうすることで、身網の中へと誘い込むのです。

入口から入るとまず、魚は「運動場」に導かれます。

運動場は非常に広いため、魚はその中を自由に泳ぎ回ります。

また、網の入口は常に開いているので、中には入ってきたところから再び出ていく魚もいます。

運動場を泳ぎ回る魚のうち、一部が網のより奥にある袋網へと向かいます。

運動場から袋網へと続く通路(登網)は先端が細くなっており、その構造上、一度袋網に入った魚は外へ出て行きにくくなります。

こうして袋網に溜まった魚だけを獲るのが定置網漁の仕組みです。

定置網の構造、各部名称

・垣網 ……沿岸を回遊する魚の進路を遮断し、運動場へ誘導する
・運動場 ……魚が真っ先に入る場所。
周囲は網で囲まれているが、非常に広く魚が自由に泳ぎ回れる
・登網……運動場から箱網へつながる通路。
箱網に向かって底面は登り坂、側面は狭くなっている
・箱網……最終的に魚を留めておく部分で、箱網を締めて魚を漁獲する
・側張……太いロープやワイヤーで張り立ててあり、定置網の骨組みになっている
・台浮子……定置網の前後にある大型の浮子(浮体)
・錨……定置網を海底に固定するための大きな金属の錨
・土俵……定置網を海底に固定するためのもの

定置網漁のタイムスケジュール

定置網漁のタイムスケジュール

定置網漁は、未明に出発して昼頃には仕事が終わる日が多いのが特徴です。

主なタイムスケジュールをまとめました。

タイムスケジュール

①夜明け前に出港、およそ30分程度で網のある場所に到着する
②箱網を引き上げ(網起こし)、かかっていた魚を漁船に積み込む。これに1~2時間かかる
③場合によっては船上で網の修繕などを行い、箱網はそのまま海へ戻す
④帰港し、選別作業を行う

定置網漁は環境に優しい!

定置網漁は、巻き網など能動的に魚を追いかける漁法と異なることから、「待ちの漁」とも呼ばれます。

受動的な漁法なので過剰漁獲に陥りにくく継続的に漁業ができる、「資源管理型漁業」「省エネ漁業」などと呼ばれています。

さらに、海岸から近いところで漁をするため船の燃料を節約できることから、環境にも優しい漁として注目を集めています。

このような定置網漁の利点を広く紹介するため、ブリの定置網漁が盛んな富山県氷見市で2002年に「世界定置網サミット」が開催されました。

定置網の歴史は古く、一説には江戸時代から始まったとも言われています。

昔ながらの漁法が今再び脚光を浴び、世界的にも注目されているのです。

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