水中ドローン(OpenROV v2.8)を使った実証実験を中川運河で行いました

OpenROV v2.8

年の瀬が迫る2016年12月下旬。関係各所のご協力をいただき水中ドローンの実験が実現できました。ありがとうございました。

使用した水中ドローンはOpenROV v2.8

OpenROVは水中の洞穴を調査するためにデビッド・ラングとエリック・スタックポールによって作られたプロジェクトです。

海外のメーカーですが、日本国内からも通販で購入することができます。

OpenROV 基本スペック

OpenROVは組み立てキットですので、ほぼバラバラの状態から組み上げます。

アクリルの接着や配線など、防水加工にとても気を使います。

重量2.6kg
サイズ300×200×150mm(長さ、幅、高さ)
最大潜航深度約100m(328フィート)
最大進行速度2ノット

水中実験開始

船に機材を積み込む

今回の調査は運河である特定の魚が生息しているか、指定場所で水中調査をすることでした。

深さは数メートルで比較的浅い場所での調査です。

当初心配されていたことは、

  • コントローラー内およびバッテリーへの浸水
  • 制御不能で機体の沈没
  • バッテリー残量

大きな心配としては、電子部分への浸水です。

もし浸水し一部でもショートすると機体は制御できなくなります。キットからの組み立てという事もあり、浸水することが一番の心配事でした。

その他、内蔵されているカメラがHD画質であり、なおかつアクリルケース内からの撮影のため映像のクオリティーが心配でした。

まず、浸水の問題は機体が組み上がっている以上、多くの対策が打てないため予備機を2台用意し、全部で3台体制で調査に臨みました。壊れることを前提にしていました。

カメラの問題は水中ドローンの外部にGoProを取り付けることで対応しました。

GoProはHERO4とHERO5を用意。バッテリーも十分に準備しました。

ドローン本体のバッテリー問題は、予備を7セット用意することと発電機を持ち込み、万が一に対応しました。

心配をよそに以外な結果

OpenROVは精工にできており、メインコントローラ部分やバッテリー部分への浸水は全くありませんでした。

予備機は出番がなく、そのまま帰還することになりました。

内蔵されたカメラはリアルタイムで水中の映像を確認することができ、とても順調に機能しました。

録画は外部に取り付けたGoProが行い4K画質で動画撮影をしました。

水中ドローンの駆動用バッテリーは3セットの使用で済みました。メーカースペックに1セット2~3時間とある通り、十分な時間、水中調査をすることが可能です。

全体的に当初心配していたことはほぼ起こらなかったのですが、それ以外に多々運用の障害になる事は起きてしまいました。

実際の運用で得た反省点

実際の運用では考えもしなかった問題が起こてしまいました。機体のテストをした小さなプールと運河では状況が違いました。見立てが甘かったです。

[st-cmemo fontawesome=”fa-exclamation-circle” iconcolor=”#ef5350″ bgcolor=”#ffebee” color=”#000000″ iconsize=””]
  • 100mのテザーが絡まる
  • 外部装備の重さを考えなかったため、機体が浮上しない
  • 水中に潜ると撮影をしている位置がわからない
  • 電源装置の故障
[/st-cmemo]

100mのテザーが絡まる

OpenROVは100mの配線で水中に潜る機体と地上がつながっています。

空を飛ぶドローンのように無線で接続されているわけではありません。

あくまでも有線です。

その配線が初っ端から絡まり潜るに潜れない状況に。

これは関係者の方に多大なご迷惑をお掛けしました。

実際、100mの絡まりが解けたのは、その日の夕方です。

外部装備を付けた重さを考えなかったため、機体が浮上しない

浮上しない

[st-cmemo fontawesome=”fa-lightbulb-o” iconcolor=”#FFA726″ bgcolor=”#FFF3E0″ color=”#000000″ iconsize=””]機体にはGoProとキューブ型ライト2つを取り付けていました。

  • GoPro HERO4 88g
  • 防水ケース 127g
  • キューブ型ライト20g×2個=40g

合計=255g[/st-cmemo]

goproを取り付ける

この重さを全く気にせず機体を潜らせました。そもそも機体に重さがあるので、前進させるとそのまま水中に潜って行きます。

ただし、潜りっぱなしで浮上しない。

カメラの映像で見る限り、浮上の操作をしても運河の底についてから数十㎝しか浮いてきません。

この状況では水深を指定して撮影をしたり、ちょうど良い深度で運用することができませんでした。

機体の制作にも何か問題があったのかもしれません。

水中に潜ると撮影をしている位置がわからない

機体の位置がわからない

これは浮上できないことも影響しているのですが、一旦、水中ドローンが潜り航海を始めると、一体どこを撮影しているのかわからないという問題がありました。

機体と繋がっている配線の行く先を見るとおよその場所はわかるのですが、具体的な場所がわからない状況が続きました。

機体が浮上できれば、一度水面に浮かせ位置を確認することもできたのですが。。。

電源装置の故障

これは構造の問題がありました。

予備機の2台分があったので、運用には支障は出ません。

改良もすぐにできる部分でした。

実験が終わってからのメンテナンス

実験が終わってからのメンテナンス

実証実験が終わってからは、海水に使った機体を洗う作業があります。

モーター部分など機械がむき出しの部分が多く、使用後のメンテナンスは重要です。

1. まずは、真水で洗浄

海水に使った機体を真水で流します。

運河の底にたまったヘドロなども機体に付着していますので、それらも洗い流します。

配線部分にゴミが絡まったままになっていたり、水中調査の場所によっては機体はだいぶ汚れます。

2. モーター内の洗浄

モーター内には予めシリコングリスをたっぷり付けていました。

ただ、これが付け過ぎもあり、その部分に汚れが付着し、真水では洗い流せません。

さらに泥を巻き上げて運航したため、一部のモーターから異音が。

モーター部分は配線を外し、全体を洗浄しました。

モーター

モーター2

モーター3

モーター4

3、バッテリーを抜き、メインコントローラ部分を外して、モーターを外すと、機体はほぼバラバラの状態になります。

モーターから飛び散ったグリスをふき取るには、ここまで外さないと厳しいものがありました。

配線はすべて防水の収縮チューブを使っていますので、外す際は配線事切った方が早いです。

ただし、これを何度かやると配線が短くなり再度組み上げることができなくなるかもしれません。

次回制作する時は、予め余裕をもって配線を回した方が良さそうです。

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