ドローンに関する法令や規制を初心者向けに解説!宮城県内での飛行で注意すべきことも紹介

近年、市販のドローン製品も増え、様々な場面で飛行しているのを見かけるようになりました。ただ、ドローンの飛行に関しては様々な法令への準拠が欠かせず、何も知らずに飛ばしていると罰則が適用されるおそれもあります。

そのため「ドローンを飛ばしてみたい」という方は、まず、関連法令の存在を知り、適切なルールを把握していかなければなりません。

そこで当記事ではドローン初心者に向けて関連法令の解説をしています。また、宮城県で飛行させる場合に特に留意すべきこともまとめていますのでぜひ参考にしてください。

ドローンの飛行で留意すべき法令

ドローンの飛行に関して規律している法令はいくつかあります。また、直接ドローンの飛行を対象にしていない法令であっても、飛行に際して無視できないルールが定められていることもあります。

そこでまずは、ざっとどのような法令に留意すべきか整理しておきましょう。各法令とドローンの飛行との関係は以下の通りです。

  • 航空法
    ドローンなど、飛行するモノに対するルールをまとめた法律
  • 小型無人機等飛行禁止法
    ドローンなど、飛行するモノが特定施設の上空を飛行することに関して規律した法律
  • 電波法
    電波の利用に関して規律した法律。ドローンの操縦時に考慮すべきケースがある
  • 道路交通法
    交通の安全を図るための法律。ドローンの飛行や離着陸で道路へ一定の影響がある場合に考慮する
  • 民法
    民間のルール全般をまとめた一般法。他人の私有地上を飛行する場合に考慮するケースがある
  • 条例
    地域別の特性を考慮して定められるルール。ドローンの飛行に関して定めている地域もあれば、定められていない地域もある

状況に応じて他にも関連する法令はありますが、特に重要なのは「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」です。

ドローンの定義

各法令で定められているルールを見ていく前に、ドローンの定義を知っておかなければなりません。各法令で定められている定義に該当しなければその適用は受けないからです。

そのため、商品名として「ドローン」と示されているかどうかが重要なのではありません。そもそも法令上「ドローン」という名称で定義されているわけでもありません。手元にあるマシンを個別に判断するようにしましょう。

例えば航空法であれば、第2条22項に「無人航空機」として定義が置かれています。

この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。

引用:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000231

ただし、航空法施行規則では重量200g未満のものに関しては無人航空機に該当しないとも定められています。このことからも、一般にはドローンと呼称されている製品であっても法律の適用可否が分かれることがわかります。

他方、小型無人機等飛行禁止法(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)では第2条3項にて「小型無人機」として定義が置かれています。

この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものをいう。

引用:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC1000000009

このように、法令によって定義のされ方が異なっており、定義にあてはまるかどうかで特定のルールの適用可否が変わってきます。他の法令を考慮する場合も、こういった観点から文言を細かく見ていくことが大切です。

航空法によるドローン飛行の規制・ルール

それでは、ドローンが航空法における「無人航空機」に該当する場合に最低限守るべき規制・ルールを紹介していきます。

以下では主に「飛行禁止空域」「禁止されている飛行方法」について言及します。

なお、国土交通大臣による「許可」や「承認」があれば、飛行禁止空域での飛行や以下で紹介する(原則禁止されている)方法で飛行させることも可能です。

飛行が禁止されている空域がある

飛行機との衝突や、落下による危険などを考慮し、航空法では一定の場所を飛行禁止空域として原則無人航空機の飛行を禁止にしています。

例えば「地表から150m以上の高さ」に該当する空域は禁止されていますし、「空港周辺」の空域も飛ばしてはいけません。同様に、ヘリポートなどの近くも飛ばさないように注意が必要です。細かく空域が指定されていますので、飛ばそうと考えているエリアの近くに空港などがある場合には一度調べるようにしましょう。

また他にも、「緊急用務空域」として国土交通省や防衛省、警察庁などが指定する飛行禁止空域がありますし、「人口集中地区の上空」も同様です。

なお、緊急用務空域以外に関しては、安全性を確保した上で許可を受ければ飛行可能です。そして、このいずれにも該当しない空域に関しては飛行に際しての許可は不要です。

飛行に必要な準備が整ってから飛行させる

当たり前の話ではありますが、きちんと点検などを行い、周囲の状況や環境などを確認した上で飛行をさせなくてはなりません。

国土交通省でも、以下の事項を確認するよう求めています。

飛行準備として確認すべきこと 具体例
無人航空機の外部点検および作動点検 ・バッテリーやプロペラ、カメラなどが確実に取り付けられていること

・プロペラやフレームなど、機体に損傷がないこと

・通信系統および推進系統の正常な作動

飛行させる空域と周囲の状況 ・飛行経路に航空機が飛んでいないこと

・無人航空機が飛んでいないこと

・経路の下に誰もいないこと

気象状況 ・ドローンの仕様上、飛行可能な風速、雨量であること

・視程が十分確保されていること

バッテリー等の残量 ・バッテリー残量、または燃料が十分にあること

飲酒した状態での飛行は禁止

航空法では、アルコールや薬物により正常な飛行ができない状態であれば飛行をしてはいけない旨明記されています。

一般的なアルコール飲料はもちろん、アルコールを含んでいる食べ物も該当します。薬物に関しては市販されているような医薬品も含んでいます。そのため、自動車を運転するときと同じようにアルコールの摂取と操縦には十分配慮をしなければなりません。

不必要に騒音を発する行為は禁止

飛行上の必要がないにもかかわらず騒音を発したり、急降下させたりする行為は禁止されています。そしてこれらの行為はあくまで例示にすぎず、他人に迷惑をかけるような方法での飛行は広く禁じられています。

人の近くでわざと急降下させたり、急接近させたりといった行為も同様です。

日の出から日の入りまでの飛行とする

航空法では飛行時間を「日出から日没まで」と指定しており、夜間の飛行は原則禁止にしています。

なお季節によって日出時間・日没時間は異なりますので、国立天文台が発表している時刻で判断するようにしましょう。季節のみならず地域差があることにも留意しましょう。

常に目視できる状態で飛行させること

航空法では、目視による常時監視を求めています。「操縦者自身の目で見ること」が必要です。つまり補助者に見てもらうことでは不十分で、操縦者自身が双眼鏡で監視をするのでもいけません。

ただし、コンタクト、眼鏡を使った目視は認められています。

人や物とは30m距離を空けて飛行させること

「人または物件」に対し、「法令で定める距離」を保って飛ばさなければなりません。

ここでいう人とは関係者以外の者のことであり、物件とはその関係者が管理していない物件を指します。具体的には、中に人が入っている機器、建築物や相当に大きい工作物などが該当します。一方で、樹木などの自然物はここでいう物件にはあたりません。

以下に「物件」の例を示します。

  • 自動車
  • 鉄道車両
  • 建設機械
  • 船舶
  • 住居
  • 倉庫
  • 鉄塔
  • 電柱
  • 信号機
  • 街灯

なお、法令で定める距離とは「30m」です。

人や自動車、建物などとは直線距離30m以上維持することを意識して飛ばしましょう。

航空法に違反したときのペナルティ

ここで紹介したルールに反した場合、航空法違反として「最大50万円の罰金」を科せられる可能性があります。

飲酒した状態での飛行に関しては特に危険が大きいことから、「最大1年の懲役」(または30万円以下の罰金)が法定されています。悪質な場合には刑務所に入ることになってしまいますし、飲酒した状態での飛行は絶対にしてはいけないと覚えておきましょう。

小型無人機等飛行禁止法によるドローン飛行の規制・ルール

ドローンの飛行全般を規律した法律として航空法がありますが、国家や経済活動などの保護を目的とする法律としては「小型無人機等飛行禁止法」があります。

正式名称は「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」。その名称の通り、同法では国家や社会的に重要とされている特定施設の危険を防止するべくその上空での飛行を禁止しています。

例えば内閣総理大臣官邸、国会議事堂、外国公館、防衛関係の施設、皇居さらに原子力事業所などが指定施設です。他にも様々な施設が指定されていますし、国家の重要な施設が近くにある場合にはこの指定を受けていないか別途調査をする必要があるでしょう。

なお近年の法改正では、国土交通大臣指定の空港周辺において、重さや大きさに関係なくドローンの飛行が禁止されています。空港の敷地や周辺300mほどのエリアで飛行させるには空港管理者の同意、都道府県公安委員会等に対する事前の通報が必要です。

令和2年7月22日からは新たに以下8つの空港が指定されていますので注意しましょう。

  1. 新千歳空港
  2. 成田国際空港
  3. 東京国際空港
  4. 中部国際空港
  5. 大阪国際空港
  6. 関西国際空港
  7. 福岡空港
  8. 那覇空港

同法違反を犯した場合、「最大1年の懲役」または「最大50万円の罰金」を科せられる可能性があります。

その他ドローン飛行で注意すべき法令

以上が配慮すべき主な法令ですが、特定の場合においては以下の法令にも配慮が必要になります。

電波法

無線設備の国内利用に関しては、電波法への準拠が欠かせません。条件次第では同法に基づいて無線局の免許を受ける必要があります。

一方で、他の無線通信への妨害が生じないケースであれば免許は不要です。一定の技術基準に適合するドローンであれば免許を受ける必要はありませんので、技術基準に適合していることを示すラベルが貼られているかどうかを確認すると良いでしょう。国産の製品であれば電波法に準拠しているものが多いです。

民法

民法には非常に多様な規律が設けられていますが、ドローンの飛行に関して言えば「土地所有権」が問題となりやすいです。

同法では第207条において「その土地の上下」にまで土地の所有権が及ぶと定められています。ただ、実質的には上空のどこまでも認められるものではなく、一般に土地所有者の利益が存在する限りで及ぶと考えられています。

つまり、第三者の私有地上を飛ばす場合には所有者の承諾を受けることが望ましいとされる一方で、常に承諾を得ていなければ法的に責任を取らされることになるわけではありません。

そのため明確な線引きをすることは難しく、誰かの私有地の上を通過する場合には常識ある範囲で、適度な距離感を保つことが大切です。

なお、宅地でなくとも、山林なども私有地に含まれますので注意しましょう。自然の中で飛ばせば問題ない、とも限りません。

道路交通法

道路交通法では、一定の使用方法をする場合「道路使用許可」を得なければなりません。

ドローンの飛行に関しても、飛行によって道路に危険が及び、交通の円滑を阻害するおそれがあるのなら道路使用許可が必要です。また、道路に人が集まって交通に大きな影響が及ぶときや、道路や路肩上でドローンの離着陸を行うときにも許可が必要な場合があります。

ただし道路上空から撮影をするだけであれば許可は必要ありません。

なお、同法でいう「道路」に車道だけでなく歩道が含まれることには注意しましょう。

条例

法律は国内のどこでも同じように適用されるルールです。

他方、条例はエリア別の特性を踏まえて定められるルールであり、当該エリアにおいてのみ適用されるルールです。

そのため全てを知っておく必要はありませんが、ドローンを飛ばそうと考えているエリアに、ドローンの飛行に関する条例がないかどうかは確認しておくべきでしょう。

例えば東京都では、公園利用者の安全配慮の観点から、都立公園でのドローン飛行は原則禁止されています。他の自治体でも公園での飛行が禁止されている例は多いですし、個別に特定施設が指定されていることもあります。

宮城県でドローンを飛ばす方が知っておくべきこと

以下では、宮城県でドローンを飛行させようと考えている方に向けて、条例や飛行に際して配慮が必要な施設、通報手続のことを解説していきます。

宮城県の条例について

執筆時点において、宮城県ではドローンの利用に関する条例は定められていません。

ただし今後制定される可能性はありますし、公園などの管理者が別途ドローン禁止の規定を設けている可能性もあります。そのため飛行させる際は一度確認を取ってから行うと良いでしょう。

小型無人機等飛行禁止法の対象施設(宮城県内)

宮城県では、下の施設が小型無人機等飛行禁止法の対象施設として指定されています。

対象施設 管轄警察署
陸上自衛隊霞目駐屯地 若林警察署
陸上自衛隊仙台駐屯地 仙台東警察署(宮城野区内の場合)

若林警察署(若林区内の場合)

東北電力株式会社女川原子力発電所 石巻警察署
航空自衛隊松島基地 石巻警察署

よって、これらの施設の周囲300mほどではドローンの飛行をしてはいけません。

なお、同法によるものではありませんが、仙台国際空港周辺での飛行も禁止されています。航空法上の問題もありますし、仙台空港供用規程でも禁止とされています。

対象施設管理者の同意を得た場合の通報手続

指定施設周辺では原則として飛行が禁止されますが、対象施設の管理者から同意を得た場合には飛行禁止に関する規定は適用されません。

ただし、同意を得ることに加え、所定の通報手続を行う必要はあります。

通報は、宮城県公安委員会等に対し行うのですが、当該施設周辺を管轄する警察署経由で通報します。よって、基本的には警察署にていくつかの手続をしなければなりません。

必要なのは「通報書の提出」「同意を証明する書面の写しの提出」「ドローンの提示」です。

通報書は48時間前までに管轄警察署へ提出し、飛行区域を表した地図を添付します。そして施設管理者から交付された同意を証する書面の写しを提出するとともに、実際に飛行させるドローンを見せるか、それが困難な場合には写真を提示するなどしてどのような小型無人機等を飛行させるのかわかるように示します。

以上でドローンの飛行で留意すべき法令やその内容を解説してきました。今後も内容が改正される可能性はありますし、常に最新の情報を仕入れて安全かつ適法にドローンを楽しむようにしましょう。

もっと学べるドローンスクール・資料請求はこちらから

お問合せはこちら

国家ライセンス制度、補助金、講習内容など、ご不明点はいつでもご連絡ください。講習日に見学も受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。


お問合せメール022-738-8861
〒981-3203
宮城県仙台市泉区高森4-2-342
電話:022-739-8861
Mail:info@xd-fun.com

関連記事

DJI Flyアプリの機能説明と設定マニュアル2

カスタマイズ可能!産業用に最適な3DRのSOLO(ソロ)

スマホで正確な距離が測れる「地図計測プロ」の使い方

全国のドローンレーサーが仙台で競演!「Tri Drone2022」

二等無人航空機操縦士の実技試験内容とコース紹介

ドローン管理に最適!AirData UAVの使い方

PAGE TOP